ハビタブルゾーンの歩き方

 

「ギャラクシー運送冥王星行きの」設定資料集

 


Chapter1: 世界観

-舞台

宇宙開発がかなり進んだ26世紀終期。
人類は太陽系全ての惑星だけでは飽き足らず、天の川銀河さえ飛び出し遥か2億2000万光年先のじょうぎ座銀河団にまで足を踏み入れた。その過程で次々と探索機の中継地となった惑星・準惑星をテラフォーミングし、地球から溢れた人の濁流の受け皿として作り変えられた。
宇宙航路が切り開かれるにつれ宇宙空間に対する理解と対抗技術も発展し、今や一般人でも重装備無しで宇宙旅行を楽しめるようになった。長期休暇中にボーナスを使って箱根辺りに行くような気軽さである。
これによって観光・運送業・建築・飲食など諸々の企業が活気づいたのは言うまでも無く、我々が遠い星のお友達にプレゼントを送る時に必ずお世話になる「ギャラクシー運送」も例に漏れず恩恵を受けたのだった。

-テラフォーミング

テラフォーミングとは、他の星を地球のような環境に作り変える技術のこと。この時代ではこれが非常に高い水準まで洗練されており、太陽系内では以下の星がテラフォーミング済みである。

【惑星】火星 水星
【衛星】月 ガニメデ カリスト タイタン エンケラドゥス オベロン ミランダ ティタニア トリトン※
【準惑星】セレス 冥王星 エリス マケマケ ハウメア

※2583年から永久立入禁止 

▲テラフォーミング手順図
▲テラフォーミング手順図

基本的なテラフォーミングの手順は、ドライアイスなどを用いて人工的に海を作り大気を発生させ、星の温暖化を促し、充分な二酸化炭素を確保した後に藻類を散布し呼吸に必要な酸素を作り出すというもの。
しかし、往々にして環境を作り変える時には元あった環境の保全問題が付き纏う。
火星での失敗例を記載しよう。火星には太古の湖の跡地とされるクレーターがいくつかあったが、テラフォーミングの技術者達は環境保護調査隊の遠征部隊が到着するのを待たずにクレーター内をドライアイスで満たしてしまった。
その後、火星に降り立った調査隊は別のクレーターの地層から太古の湖にかつて生息していた魚類の卵の化石を発掘した。
数種類の生物の痕跡を見つけることができたが、既にドライアイスの海と化したクレーター内に残された宝は日の目を見ることなく再び悠久の眠りについたのだった。